大判例

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福岡高等裁判所 昭和26年(う)3696号 判決

記録によると、原審第一回公判期日において、検察官が取調を請求した副検事原田友一作成の友広亀吉の供述調書については、被告人及び弁護人がそれを証拠とすることに同意しなかつたので、検察官の請求により、右友広亀吉を次回に喚問して取り調べる旨の決定がなされたこと、第二回公判期日に証人として召喚された友広亀吉は、訴因たる公訴事実については、自分が刑事訴追をうけ又は有罪判決をうけるおそれがあるからそのことについては答えないといつて証言を拒絶したので、検察官の請求により前記友広亀吉の副検事に対する供調書が取り調べられたこと並びに原判決がその供述調書を、事実認定の証拠に供していることが認められる。

案ずるに、刑事訴訟法第三百二十一条第一項各号に「その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため、公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき」とあるのは、その供述者を証人として公判準備又は公判期日に喚問することの不可能であるか、或は喚問してもその供述を得ることのできない場合など、供述者が公判準備又は公判期日において供述することのできない原因を、ただ例示的に列挙したものであつて、所論のように必らずしも厳格に、制限的に列挙されたものということはできないから、供述者が、証人として公判期日に喚問されたのに、その証言を拒絶したため、その供述者から証言を得ることができなかつた場合も、前記列挙の場合に準じ、供述者が公判期日において供述することのできない場合に該るものとして、その証人の供述を録取した書面の証拠能力の有無を判定することができるものと解するのが相当である。

してみれば、本件において、友広亀吉が証人として公判期日に喚問されたのにかかわらず前記のような理由によつて、証言を拒絶したために、同人から公判期日において供述を得ることができなかつたのであるから、上敍説明したところにより、前の供述を信用すべき特別の情況の存することの記録上認められる同人の検察官に対する署名押印ある供述調書につき、刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号の要件を具備するものとして、証拠能力を認め、これを証拠に供した原判決はまことに相当である。

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